「Rare case a Window」セルフライナーノーツ

「Rare case a Window」セルフライナーノーツ

この曲に着手したのは、2016年の10月です。
なので、レコーディング時点で既に懐メロでしたが(笑)
当時は、音楽活動は割と充実していた時期だと思いますが、
ストレスが半端なく溜まっていた頃だと認識しています。

2015年頃から「J-popを作る」というスローガンを掲げてましたので、
キャッチーなメロディ、解りやすい曲を作ろうとしていました。
ギターロックから離れたかったのはこの頃からでしょうか。

話は標題の件に戻ります。
シンガロングできる曲を作ろうと思いつき、制作に取り掛かりました。
バックにゴスペルシンガー達がいるようなダンスミュージック、
曲の開始直後、またサビの後ろで聞こえるメロディの原型がここでまず出来ました。
そしてもう1つのポイントとして、あからさまに間奏で出しゃばるダサいギターソロ。
ただでさえ曲を作る時に一切ギターを弾かない私にとっては珍しく、笑える瞬間でした。
泣きのソロ、早弾きも考えましたが、本当にダサくなってしまうので、
メロウなソロを心がけました。

Bメロで女性ボーカルがメインをとる箇所がありますが、ここも初期段階から入っていました。
女性ボーカルは、ボカロの「巡音ルカ」に歌ってもらいました。
ベースも4分のみの刻み、ドラムに至っては、バスドラムとスネアのみでした。
リズム隊に関しては、最終的には16ビートをもっと出すアレンジに変わりましたが、初期段階は、もっと機械的なシンプルな音楽だったと思います。

ギターの細かい話をしますと、これもいつも言うのですが、サビで歪んだギターでコードを弾く「ギターロック」には関心がなかった為、一切しておりません。
単音16分のミュートギター、カッティング、そして、氷の様な深いディレイが掛かったコーラスギター。
正にこれが「楢原節」とでも言いましょうか。
「J-popにしたい!」という気持ちが入っています。
なるべく前面には出ず、でも、16分の刻みがまるでパーカッションの様な立ち位置を意識しました。
ベースは、ライブごとにアプローチを変えてもらいました。
スラップしてもらったりしたこともありましたが、結局は控えめな16ビートでボトムを支えてもらう様にしました。
ドラムに関しては、録り音から木の成分をなるべく無くす作業を行いました。
しかしながら、芯は残し、尚且つチューニングが高めの設定にしました。
こちらも各太鼓類にゲートをかけて、機械的にしてます。
16ビートの刻みがしっかりと聞こえてきて、個人的には結構気に入っています。

仮歌のクオリティもそこそこ高かったと思います。
「Last Dance」では、モーニング娘。V字回復の立役者、道重さゆみさんの事を歌いましたが、
この曲に関しては、「草食系男子」という言葉でごまかしてる女々しい男達に向ける皮肉を歌っています。
すごくキャッチーなメロディで複数のコーラスワーク、ゴージャスなメジャーソングなのに、
中身は「皮肉」という所に、当時の精神状況がわかります(笑)
実際にパッケージした状態ではその箇所が微塵も見られないので、皆様にはお届けできませんが(笑)

歌ですが、「Last Dance」同様にかなり重ねました。
発売が遅れた原因はここにあるかもしれません。
主旋律、上下のオクターブ、3〜6度の各ハモり、それをダブルで録音する為、膨大な量になりました。
これは本当に大変だったと思います。
ただ歌が一番重要ですので、妥協せず、厳しくジャッジさせて頂きました。

アイちゃんパートは割とあっさり終わりました。
箇所も少なかったですし、
やっぱりミュージカル出身なので雰囲気を伝えたら、息づかいも含め、最初からクオリティが高かったです。

全員で歌う箇所は、事前に募集していた一般の方にも協力して頂き、私がディレクションさせて頂きました。

最後の作業として、シンガロングの主張を初期段階よりプライオリティを下げ、
そこに以前から実験してみたかった声の素材を加工して、シンセの様なパーカッションの様なサウンドを足してみました。
冒頭、サビ、エンディング等様々な箇所に「ボーカルチョップ」と呼ばれるサンプリング音を配置しています。
こちらは「ドレミファソラシド」をアヒト氏、アイちゃんに素材として録音してもらい、
そこからまた1〜2オクターブを上げたり下げたり機械でピッチ調整後、
L、R、両方のチャンネルに分け、16分で跳ねる様な感じを意識して張り付けました。
こちらですが、「愛の軍団」、「青春小僧が泣いている」、「Oh my wish!」あたりを参考に作成しました。
好きな人なら聴いた時にわかったかもしれませんね。

そしてアレンジにアレンジを重ねて、最終的には、「Ver.5.0.1」位かな?(笑)
それが現在の姿です。
まだアップデートしたかったのですが、終わりがなくなりそうだったので最終形をパッケージしました。
ということで、話が右往左往し、まとまってない感じになっちゃいましたが、
「アヒトイナザワにJ-popを歌わせてみた」第1弾、「Rare case a Window」のセルフライナーノーツでした。