「Last Dance」ライナーノーツ

Last Dance セルフライナーノーツ

■テーマ
「アヒトイナザワにJ-popを歌わせてみた」
ギャップ好きな私がふと思ったテーマ。

ここ何年かは、少なからず、「アニソン」「アイドル」「J-pop」の仕事を携わっていた事もあり、自分の中で色々考えが変わっていった時期でもありました。

元々この曲の原型は、アイドルやアニソン等の女性ボーカル用にストックしていた曲でした(作家としてまだ採用された事は無いですがw)。
新作を出す流れの話が出た際に、ストックの中から引っ張り出し、VOLA用に再構築しました。

■歌に関して
まず、サビから取り掛かりました。
難しすぎず、でもメロディアスなフレーズを意識して。
そこから肉付けをしていく訳ですが、作っていく中で、
「女性ボーカルとデュエットしたら尚面白そう」
という発想が生まれ、割と女性ボーカルのパートも増やしました。
Demo段階の女性ボーカルは、ボカロの「巡音ルカ」に歌って貰ってます。
複雑だったお陰で、随分使いこなせるようになったかと(笑)

Bメロや2サビ終わりの落ちた箇所では、順に歌う事でデュエットっぽさが出たかと思います。
コーラスワークに関しても、既存の曲は割とボーカルトラックはシンプルでしたが、
この曲に関しては、4〜5倍のトラックを使用したかと思います。
歌い回しだったり、歌詞の変更等でレコーディングでは1番時間がかかった曲だったでしょう。

■サウンドに関して
サウンド面でもこだわりを持ちました。

Demoの初期段階では、もっとバンドサウンド寄りなアレンジでしたが、
シンセを多用している為、間を取ろうとすると中途半端な状態になってしまうのを懸念し、
シンセメインで作っていきました。
ギターに関しては極力前に出さず、カッティング等でリズミカルな役割をメインにしています。
イントロや2A等で鳴っているギターフレーズは、割と初期の段階からFixしていました。
テクニカルに持って行かず、分かり易いフレーズで曲を開始したかった為です。

リズムに関しては、16ビートの軽快でタイトなリズムが前面に出せればと意識した為、
生で録ってはいますが、「生々しさ」は極力減らす方向で音作りしました。
あくまでもプライオリティが1番高いのはボーカルである事。
これは絶対の「縛り」として徹底しました。

「リバースシンバル」を要所要所で多用しています。
3種類の音質の違うものを同時に再生しています。
サビの頭だったり、風景が変わる箇所の1拍目手前でピークが来るように設定しています。
この手法は、「Poet-type.M」のプロデュースをした際に、実験したものをブラッシュアップしました。

また、深いリバーヴが掛かった「Clap」もサビ前に使用しています。
この手法ですが、「Poet-type.M」の「その自慰が終わったなら(Modern Ghost)
」の2サビ前に、スネアで表現してみたのですが、どうしても高域が出なくて。
今回もどうしようか考えていた時に、
ひょんなとこから大久保薫さんの編曲した曲(すぐ思い出して出てくるのは「One・Two・Three」、「冷たい風と片思い」)を聴いて、
その音が正に自分の欲しい音だったので、参考にさせて頂きました。

また、自分の編曲した曲には、出来るだけピアノを入れるのもこだわりです。
これはもう意地です(笑)

■タイトル、歌詞に関して
基本はアヒトさんが決めますのでタイトルも年月日だったり、歌詞も仮歌なのですが、
「Last Dance」というタイトルには、仮歌の段階で思い入れがあった為、そのまま使用して欲しい旨を伝えました。

一時期は、適当なニュアンスの言葉じゃない言葉で歌っていましたが、最近は、仮歌でも本気で作るようにしています。
仮歌の段階では、道重さゆみさんの事を歌っていました。
落ちこぼれだった彼女が自分の居場所を探し出し、
グループのリーダーにまで登りつめ、後輩が成長したタイミングで一線を引く。
要約しすぎですが、紆余曲折があっても諦めずに頑張る姿と言いますか。
違う職種でも当てはまるんですよね。
背中で語るあの姿に感動し、仮歌内で作りました。

「Last Dance」というのは横浜アリーナの卒業コンサートの事です。
色々調べて改めて卒業コンサートを観返した際、
偶然観た生中継の時とは違う様々な思いが溢れ出てきました。
まだまだ話し足りないですが、ここからはオタクの境地になってきますので、
ライブの時とか、個人的に聞きに来て下さい(笑)

歌詞も曲中の「カギを開けたい」のみ使わせて貰いました。
これは、佐藤優樹さんの「笑いながら鍵を開ける」に共感したから。

あくまで仮歌なので、「Last Dance」というタイトルと「カギを開けたい」のみ残りました。
その為、本チャンの内容は全然違いますので。

SNSやブログではもう本音が言えない時代になっていますので、私のホンネは、「仮歌」で表現しています。
なので、永遠に公に見つかる事はありません(笑)

ここまで長文ですが、セルフライナーノーツでした。
それでは皆さま、リリースお楽しみに。

楢原英介